よくいただく相談の一つです。障がいがあるなしに関わらず、子育ては際限のない仕事です。例えとしてよく例に出しますが、私が数年前にボランティアとして水害を受けた家屋の泥だしをしたことを例に挙げます。公民館の広い床一面に、30センチ程の水をたっぷり含んだ泥が積もっていました。もしこの泥を一人で出すとなるととても手をつける気持ちにもならないでしょう。しかし、10数人の同士がいることで、手をつける気にもなりますし作業もはかどります。いつ終わるともしれない事柄は、一人では不安で踏み出す勇気にもなりません。
泥だしと子育てを一緒にはできませんが、いつ終わるとのしれない仕事では似ていると思います。まして、ハンディのある子どもの子育てとなれば、一層不安と心配が募ります。そこで、私の持論ですが、「一緒に子育て」です。一緒の相手はいろいろです。心理や医療、療育の専門家も必要に応じて相談相手、一緒の相手にもなりますが、一番身近なのは「子育てをしている親同士」です。これをピアサポートといいます。子育ての悩みに的確な答えは返らないかもしれませんが、「みんな一緒や。ほんなら、ちょっと頑張ろうか」の気持ちを起こさせてくれます。子育てには正解はありません。親同士の話が正解に近いかも分かりません。
相談機関、医療機関も必要に応じて利用することもあるでしょう。診断や判定を得ることで自分の子ども理解につながり、今後の子育ての参考になります。定期的に利用することで、発達の状況の理解にもつながります。
現在保育所や幼稚園や学校に通園・登校している子どもが、並行して他の療育機関に通わせたいが、との質問もよく受けます。私は次のようにお答えします。その子どもが主たる生活の場、保育所、幼稚園、学校に喜んで通いそこでそれなりの活動があるなら、それ以上必要はないと思っています。子どももそれぞれの活動の場で全力で過ごし、ストレスを受けているでしょうし、心身の疲れもあります。帰宅後は、甘える時間、癒やされる時間として過ごすのは如何でしょうか。
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臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴木隆一