不登校や引きこもりの親御さん、ご家族とお話しするとき、見出しの社会性の言葉よく出てきます。うちの子どもや社会性が育っていない、社会性が身につけなければ、世の中に出たときに生活できない等々です。
改めて広辞苑によりますと、「社会性とは、集団を作って生活しようとする人間の根本性質。社交性」、と書かれています。平たく言えば、学校、近隣、職場等の集団で過ごすための術、挨拶が出来る、返事が出来る、常識的な行動が取れる、他者を不快にしない、等々のことでしょうか。
いずれにしても大変抽象的です。先般もこのことが話題になりました。長年家に引きこもっている30代男性の親御さんが「うちの子どもに社会性を付けなければならない。どうしたらいいのだろう」、と発言されました。親心から出た当然の願いです。疑問の余地はありません。
しかし、いわゆる社会性が苦手なため、引き込もったのです。その苦手な社会性、それも抽象的な言葉にこだわると、ニッチモサッチモいかなくなるのではないでしょうか。
幸い、その男性はコンビニで好きなものを買える、数少ない友人に会えることが出来ています。買い物が出来る、外出して人に会える、立派な社会性だとま考えられます。抽象的な社会性を、買い物が出来る、電車・バスに乗れる、市役所に行ける、ごく親しい誰それに会える等の極めて具体的、限定的にする必要があるのではないでしょうか。
ステップバイ・ステップで一つ一つこなしていき、限定的でもいい具体的な行動を身につけたいものです。
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臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴 木 隆 一