先日小学校4年生児童の保護者から、発達検査の結果が分かって、それについての相談を受けました。発達指数が84だったが、今後の勉強の理解や、成績のことが心配、とのことでした。以前は知能指数と言っていましたが、現在はその言葉は使われません。いずれにしても84の指数は、100を基準と考えますと、少しの遅れ、理解する力がやや困難と言えるでしょうか。
潜在的な能力が84あるわけですから、84の力が顕在化出来るように援助することが妥当です。84あるいはそれ以上能力が発揮出来るようにするためには、どうするかが一番大事なことです。
子ども、人間の目に見える力、外見の力は、身体能力(走る,跳ぶ、見る,聞く等々)と知的能力(話す、読める、覚える等々)です。これらの力が成績として評価されるわけです。点数等の数字で表されます。私たちはその数字に大きく影響されます。
子どもの教育相談を受けていたとき、急に自転車に乗れなくなった、目が見えにくくなった、との相談を受けたことがあります。いろいろお話を聞く中で、その子どもにとればトラウマになるような出来事があった、とのエピソードがありました。子どものトラウマや精神的な不安定は、折角持っている,発揮出来ていた力を損なうことがあるのです。
親が子どもの辛い気持ちに寄り添うことで、相談のケースも徐々に回復することが出来ました。このケースは身体的能力に関してでしたが、漢字を覚えたり、算数の課題が出来たり等の知的能力にも影響することは当然です。気持ちが安定しており,穏やかな心を持つ、励まされることで意欲が出る等、気持ちの有り様が、本来持っているの力が、正当に顕在化されるかどうかに関わります。
この気持ちの有り様がより望ましければ、場合により84は当然、それ以上の能力を発揮出来ることにもなります。反対に、自分に自信を持てない、持たせてもらえない、いつもイライラしている等、マイナスの気持ちの有り様でしたら、折角の84の力も表出することは出来ません。
潜在的な能力の発揮には、気持ちの有り様というフィルターを通して外界に出てくるのです。
臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴 木 隆 一
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