発達障がいの告知をいつ、どのように?
先日の幼稚園保護者講演会で本人にいつ、どのように障がいのことについて話せばいいのかと質問を受けました。親御さんにとれば大変迷う問題です。
数年前のスクールカウンセラー時代の臨床例を思い出しました。それは中学3年生男子発達障がいの事例でした。広汎性発達障がい特有の生真面目さ、換言すれば融通のなさを持っていました。知的面は問題なく学習活動には適応していましたが、友人関係、集団生活では若干ぎくしゃくしていました。しかし、その程度はトラブルを起こすほどでなく、自分と似たような友人数名との交友もありました。
従いまして、学校生活では、それほどおり辛さを感じることなく適応できていました。この親御さんとは、今すぐ告知の必要性はないと了解し合いました。
ただし、今後告知の必要性が出てくる可能性もある、そのときはどのようにするかを話し合いました。
先ず、告知の必要性があるのはどんな状態のときでしょうか。自分が集団生活、社会生活において生き辛さやおり辛さを強く感じ、自己否定感が大きく増大する。すなわち、日常生活や学校生活に支障が出てくるようなときには、分かりやすく説明してあげるべきでしょう。
成人発達障がいの方が告知を受けて「ああ、そうやったんか」と、ほっとしたとの述懐をよく聞きます。
タイミングよりもっと大事なことがあります。説明の内容です。先ほどの事例で、生真面目さと融通のなさを言いましたが、一人の子どもに両面があります。問題になるような片面だけを説明するのではなく、それと裏腹なもう一方を説明すべきです。例えば、「君は時間を正確に守る」、「学校のルールをちゃんと守れている」、「宿題は必ず仕上げてくる」等々のプラス面も強調し、自己肯定感を維持・増加する必要があります。それによって、自分の苦手な面を受け入れやすくなります。
ケースバイケースで、どの事例にも当てはまるとは思いませんが、タイミングと内容を考えたいものです、
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臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴 木 隆 一