平成30年1月と2月に、6回にわたり京都犯罪被害者支援センターの研修に参加しました。そこでの電話相談や、面接での支援のボランティア活動をしてみたい、と考えてのことです。過去、臨床心理士として様々なクライエントを対象に、カウンセリング活動や心のケアの活動を経験しましたが、今回は初めての分野で新鮮な印象をいろいろ受けました。
一番印象的だったのは、少年犯罪の被害者当事者の声でした。過去にも、臨床心理士の研修会で、高校生の息子さんが友人の暴力で殺された母親の話をお聞きしたことがありました。
今回講師を務められたのも、面識のない16歳の少年から一方的に暴力を奮われ、殺された高校1年生の息子さんの母親Aさんでした。いろいろ語られた中で、現在保護司である私に耳の痛い内容がありました。
それは、犯罪被害者を出さないようにして欲しいと言うことでした。Aさんの息子を殺した犯人は、過去いろいろな少年非行を繰り返していたそうです。具体的には語られませんでしたが、類推するに、万引きや暴力事件、無免許でバイク運転等々ではないかと思われます。Aさんが強調されたのは、万引きや暴力事件が軽いとは言えませんが、そのレベルの段階で対応・保護・指導をきちっとなされていれば、重篤な非行や犯罪に至らなかったのではないか、ということでした。
確かに、保護観察対象者として私たちが出会う少年や大人の中には、非行犯罪を繰り返してきた人たちがいます。保護観察を終了した少年が再度事件を起こして、家庭裁判所の審判で少年院送致になるケースもあります。大きな事件の前の小さな事件で少年が立ち直ることできれば、Aさんのような被害者を出さなくてよかったでしょう。この犯人も、過去中学校や警察署等々でいろいろ保護や指導を受けてきたでしょう。保護観察を受けていたかも分かりません。
一度、非行に陥った少年の立ち直りには、本人に道徳性や規範性を身につけるように指導すること以外に、多方面の対応が必要です。 Aさんの息子さんを殺した少年は、過去どのようなサポート受けたのか気になるところです。
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臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴 木 隆 一