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一緒に子育て 15歳少年、女性刺殺事件に思う

先日、福岡の大型商業施設で15歳の少年が、21歳の女性を刃物で刺殺した事件がマスコミで大きく報道されています。報道によりますと、少年は、少年院を仮退院後、定められた住居である更生保護施設を無断で抜け出していました。

少年院仮退院とは、家庭裁判所で少年院送致の審判決定後、少年院に送致されますが、おおよそ1年程度で仮退院が許可されます。その後保護観察に移ります。保護観察を受ける中で、守るべき2,3の遵守事項(例えば、仕事に就く、学校へ通う、再非行につながるような場所へ行かない・人と付き合わない等)を守り、定期的に担当の保護司宅へ行き、生活状況を報告する等を続けていれば、審査の後保護観察が解除され、晴れて本退院となります。その後、生活を束縛されることもなく通常通り社会生活を送れます。多くの場合、保護観察も1年位で終了します。

仮退院の条件の中に、少年院仮退院後、引受人がいることが大きなポイントになります。通常は親元です。両親が不在の場合は年長の兄弟や、親戚の者がその役を引き受けます。今回の少年は、引受先が更生保護施設となっていました。ということは、少年院を出た後引き受けてくれる家族や親戚がいないかったのか、いても彼自身がその人たちを拒否したのか、今後の報道を待ちたいと思います。私の保護司としての経験では、ほとんどが親が引受人になります。

しかし、こんなケースもありました。親から虐待を受けていた少年でした。親が引き受けを申し出ても、少年自身がその引き受けを拒否して、以前雇ってくれた知人を引受人に指定して仮退院をしてきました。彼はそこで仕事にも就き立派に更生しました。

今回の少年は、養護施設で過ごしていたとも報じられています。もともと、親からの適切な養護を受けられこなかったと想像出来ます。もっと言えば、育ちの基本的なエネルギーとなる愛情が不足していたのでしょうか。勿論、養護施設のスタッフも一生懸命に接し、その不足を補うように彼と生活を共にしてきたでしょう。

更にもっと言えば、自分一人のことだけを無条件に心底気にかけ、彼もその人の存在を心の中で確認するだけで気持ちが安らぐ人がいたのでしょうか。

カウンセリングの中で、ある女子高校生は、「私は、中学校3年間同級生からずっと無視されてきたが、不登校にならなかったのは全部敵であるような学校の中で、ただ一人だけ自分のことを気にかけてくれていた先生がいたから」、と発言しました。

そうです、一人だけでいいのです。彼からすれば、社会は全部敵かも分かりません。まだまだ長い人生の中で、彼がそのような人の存在を確認できるようになることを祈るばかりです。


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