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一緒に子育て 54 発達障害についてその2 続非行犯罪との関連

私は保護司として、様々なケースを担当します。その中で対象者が発達障害の事例が稀にあります。前回紹介しましたのは、二次障害的に非行に陥った少年でした。発達障害が早期に判明しており、周りがそれの応じて配慮(教育、しつけ等)できれば、少年院送致までいかなかった、と判断得きる事例でした。

今回は、22歳青年の事例を紹介し、発達障害の理解につなげたいとお思います。申すまでもありませんが、本人と特定できないようにアレンジをしておりますし、相当以前に終結になった事例です。

彼は、同僚とのケンカで相手に傷を負わせて懲役刑を受けました。満期を3ヶ月残して仮釈放になり、3ヶ月間の保護観察を私が担当しました。在監中から受け入れ先の両親宅へ何回か訪問しました。そのときの印象は、理解しにくい自分の息子を持て余している感じを受けました。本人は身体が大きく、両親への反抗の言動は、怖さを感じさせていたようです。特に父親は、おどおどしていたようです。真面目で温和しいなお父さんで無理はないと思いました。

両親からお聞きする彼のエピソードは、言われたこと、守らなければならないこと等について、度が過ぎるほど真面目に取り組んだことが、いろいろありました。例えば、中学生時代、部活に所属していた時、コーチから指示されたトレーニングを一生懸命にやり過ぎて、ある関節を痛めました。治りきらないうちに再開するものですから、大きなダメージを受けました。

親のアドバイスや医者の注意も聞き入れません。こうだとお思えば、徹底的に突き進む感じです。彼の場合もこの年令になるまで、発達障害と言われたこともありませんでした。それまでに相談診察も受けておりませんので、発達障害と決めつけられませんが、私の経験から、その疑いは十分にあります。

ルールや約束事に対して、臨機応変に対処するのではなく、どんな場合でも必ず守らなければの生き方は、本人も辛かったでしょうし、集団生活の中で周りも違和感を感じたことでしょう。

広汎性発達障害の特徴の一つに、このような傾向があります。物事に集中的に取り組めるプラスの裏側に固苦しさ、こだわりがあります。周りから理解されずに彼も集団生活では、居りにくさを感じていたことでしょう。家族も理解しにくい言動でした。

3ヶ月間というわずかな付き合いでしたが、保護観察で決められた約束事は、真面目に守ってくれ、無事刑期を終了しました。月二回の面接では、共感的態度で接しました。

通常、保護観察終了後、担当保護司に連絡は滅多にありませんが、彼は数度相談の電話がありました。母親からの連絡では、理解ある上司の下、何とか仕事が続いているとのことでした。

そうです、理解あるサポートしてくれる人間が必要なのです。

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臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一


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