先日の講話に対して生徒から感想文が寄せられ、そのいくつかを前回紹介しましたが、その中に私への質問もありました。今回はそのことに触れたいと思います。私は講話、講演等で書面で質問をいただいたら、必ず本人宛に書面で返事を書いて送ります。
質問1 2年生女子生徒「鈴木先生は、いじめられたら話しやすい友だちに聞いてもらって下さい。すごく楽になる、とおっしゃったけど、私は同じいじめられた状況にならないと、いじめられている人の気持ちは分からないと思います。もう少し詳しく教えて下さい」でした。
質問1への返事 この女子生徒は感性の豊かな持ち主です。返答に困る鋭い質問です。次のように答えました。「そうですね、同じ立場に立つと一番分かりやすいのは勿論です。従って、いじめの辛さも被害経験者が一番分かってくれるでしょう。しかし、もし君ならいじめ被害経験がなくても、いじめられている辛さを分かってあげようと、努力するはずです。100%分かるのは不可能かもしれませんが、訴えてきた友だちは一生懸命聞いてくれ、分かろうと努力してくれるくれる君に対して、感謝するはずです。うれしいと思ってくれるはずです。その結果気持ちが随分楽になるはずです」、と答えました。「友だちに話す」ことを勧めますのは、親や、先生には言いにくい中学生が多いからです。従って、友人に聞いて貰うことが一番手近です。「ピア・サポート」という言葉で説明します。場合によれば、先生や親のような大人に分かって貰うより、一番楽になるかも分かりません。
質問2 2年生女子生徒「いじめとおちょくりの差がよく分かりません」でした。
質問2への返事 私たち大人も、いじめ被害を訴えてきた子どもに、たいしたことはではない、それは遊び、からかいや、と返事することがあります。この返事ぐらい訴えてきた子どもの心と離れているものはありません。子ども同士の会話にもあるでしょう。私は次のように返事を書きました。「いじめではなく、遊びやからかい・おちょくりや、という会話がよくありますね。そう言われると本当にそうなのか、と思ってしまいますね。しかし、その判断は、おちょくられている、からかわれている人がするものです。その人が辛い気持ちやいやな気持ちになり、これはかなわんな、と思えばいじめになります。おちょくりやからかいも、対等な立場で行われているならまだしも、一人が複数の友人からされていたり、何回も執拗にくり返されるなら、明らかにいじめでと判断できます」、と答えました。
皆さんはどのような返事を書かれるでしょうか。
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臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴 木 隆 一