日本は自然災害の多い国です。改めてそのことを思い知らされましたのが、9月末の御嶽山の噴火です。思い出すだけでも、広島の水害、兵庫県丹波や福知山の水害、近くでは長野県の地震と続いています。
御嶽山は、標高3067m、日本では数少ない3000mを越えた山で、登山や行楽に昔から人気の山です。夏には高山植物が咲き、雷鳥も姿を見せます。噴火した9月27日は、紅葉が見頃で、天気も穏やかで多くの登山者がいました。 3000mを越えているといいながら、標高2180mまで車で行けるため、雪がつかない季節は今回のように多くの登山者が訪れます。夏でも、窪地には雪が溶けずに残り、流れ出る水は冷たく美味しいです。
実は私も過去7回登りました。単独が多いですが、登山の初心者を連れて行くことも何回かありました。冬もアイゼンとピッケルを使い登りました。従いまして、今回の噴火で多くの被害者が出たのも人ごとには思えません。報道される場所、王滝頂上、八丁ダルミ、剣が峰、それぞれの山小屋も鮮明に思い出されます。「山にいた人たちは、怖かったやろな」、「逃げるのに必死やったやろな」、と身が震えます。迫ってくる噴煙と噴石から、足元の悪い登山道を逃げるのです。
そんな中で、子どもや怪我をした人を思いやり、助け合いながら逃げたことが報道されました。また、自分のジャケットを寒がっている女の子に、貸し与え着せてあげた26歳の男性もいます。残念ながら、二人とも遺体で発見されました。 天候が良ければ、昼間は軽い服装で過ごせますが、太陽が沈みますと、気温がグッと下がります。高い山で一番辛いのは寒さです。こんな状況では、自分のことで精一杯のはずです。私ならそんなことができたかなぁ、と思います。
大きな災害の度に、他者に感銘を与える当事者の話が、よく報道されますが今回もそのようなエピソードがありました。
残されたご遺族は、美談や感銘というとらえ方は出来ません。心からご冥福をお祈りいたします。また、来春雪が溶けたら再開される捜索で、行方不明の方々が一日も早くご遺族の元に帰られることを願います。