一緒に子育て34に続きまして、小学校5年生に行いました講話について述べます。
先ず、タイトルの「心も風邪を引く」は、子どもたちに新鮮に映ったようです。5年生の年令は、思春期前期と言われます。思春期的な悩みや問題を持っている子どもいます。人生において、一番身体も心も激しく揺れ動く時期です。いずれ迎える中学生活に対して不安も持っています。
このタイトルで、私が訴えかったのは「誰でも今まで風邪を引いて、お医者さんに行ったように、心も身体と同じように風邪を引いて当たり前やで」、ということです。身体も風邪をひいたり、お腹が痛くなったりすることが誰にでもあるように、心の方も生きているのだから、悩んだり、落ち込んだり、やる気がなくなり学校へ行くのが嫌になることが、誰にでも起こることを分かって欲しかったのです。
生きているのだからこそ、心が揺れ動く、いい方へ揺れ動くときもあるし、反対の時もある。それで当たり前、何も恥ずかしいことではない、ということです。この悩み、ストレスは自分だけに起こっている、自分が弱いから起こるとお思い込み、大きな自己否定感につながらないようにすることです。
心が風邪を引いたらどうするのかにつなげました。身体が風邪を引いたら、薬を飲んだり、お医者さんに行ったり、時に学校を休むように、心が風邪を引いた(悩む、落ち込む、すなわちストレスがたまる)時にも、無視しないでなにがしかの対応が必要なのです。
一番手っ取り早いのは、誰かに自分の悩み、ストレスを話すことを提案しました。誰かとは、親や先生がよく言われますが、私は友だちでいいことを強調しました。「親に言ったら、あんたが弱いからや、あんたが悪いからや、と言われなかったですか」、と投げかけますと、賛同の声がたくさんありました。
悩むことが恥ずかしいと思い込むと、誰かに打ち明けたり、次の行動に移りにくいですが、誰にでもある当たり前のことと思えるなら、誰かに聞いてもらえやすくなります。このような習慣がつくと、友だちでは解決しないことは大人への相談につながります。
大人は、「何やそんなことぐらいで」とか、「お前が弱いからや」とかの言葉で切るのではなく、折角話をしてくれたのですから、子どもが話してくれる習慣を持たせたいものです。
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臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴 木 隆 一