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一緒に子育て 44  やってたなぁ 一家総出の 大掃除

みだしの川柳は、新聞の読者投稿欄に掲載されていました。この川柳の意味やおかしさは、年配の人でないと理解出来にくいのではないかと思います。ある時期まで、その地域で決められた日に、一斉に大掃除をする習慣がありました。その日は個人のスケジュールも無視され、家族全員で大掃除をしていました。

今はほとんど見かけませんが、畳を外に出しお日様に当てて干し、埃をたたき出します。部屋から畳を出すには、家具の移動をしなければならず、しんどい作業でした。それだけに家族全員の参加が必要でした。

こんなに労力をかけていた一大行事の大掃除が、いつのまにかなくなったのと、懐かしむ気持ちが読み込まれている川柳です。

この川柳を、家族関係や子育てに関連させるのも意味があります。現在は大掃除を含め家族で行う伝統行事が少なくなってきています。例えば、「大掃除」のところに「お餅つき」「お墓参り」「初詣で」等々に替えても、意味が通じます。これら伝統行事は、時には家族だけでなく親類、ご近所とも一緒に行うことがありました。また、大掃除やお餅つきには子どもの役割もちゃんとあります。

子どもが健全に育つ基本的な環境に、多様な人間関係があります。その人間関係の中で自分の役割を果たすのは、自己肯定感にもつながりまし、絆を実感できます。

また、父権の弱体化といわれていますが、伝統行事の多くは父親のリーダーシップが必要です。父権や父性性を発揮するには絶好の機会です。

伝統行事が良いものと分かりつつも、今更大掃除やお餅つきでもありませんし、無い物ねだりです。昔の行事を懐かしむのは単なる郷愁に過ぎません。その家なりの行事を作り出し継続するのです。子どもたちが大きくなった時、「うちの家は、夏になればいつも何々をやっとたなぁ」の思い出を残してやりたいものです。このことが、家族の求心力にもなります。

幸い、年末年始は家族が揃い、一緒に行動できる良い機会です。

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臨床心理士、元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一


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