私の知人で但馬で養鶏場を営んでいるAさんがいます。彼の養鶏にはポリシーがあります。こだわりと言ってもいいぐらいです。鶏に与えるえさは、無農薬有機栽培で収穫した麦です。大規模養鶏場の狭いゲージではなく、いわゆる平飼いです。卵を沢山産ませるため、栄養価の高いえさを潤沢に与えておりませんので、鶏は土をほじくり虫を捕ったり、草をついばんでいます。その上、自然の土の広い養鶏場で動き回っています。狭いゲージでは考えられません。
ある時、Aさんの自宅に招かれました。ご自身がつぶした鶏をご馳走になりました。肉もおいしかったですが、もっとも印象的だったことが、みだしにしましたようにレバーに臭みがなかったことです。過去何回もとりレバーを食べたことがありましたが、特有の臭いというか味があり、それが当然と思っていましたが、いただいたレバーには特有の臭い、味、くさみがありませんでした。
Aさんにそのことをお伝えすると、次のような話をされました。先に述べましたように卵を沢山産ませるために潤沢にえさを与えるのではなく、こだわりの麦のえさを適度の量を与えます。広い養鶏場で虫や草を求めて動き回ります。少なめのえさを栄養として体内に取り込むためには、内臓が一生懸命に働く必要があります。仮に栄養価の高いえさが潤沢にあれば、それほど内臓が働かなくても栄養が取り込めるわけです。すなわち、内臓が健康的なのです。レバーがおいしい理由がそれなのです。
健康的な鶏が産んだ卵もおいしいのは勿論です。割って黄身をつまむとそのまま持ち上げることができます。少なめのえさ、そのえさもこだわりの麦、虫や草も食べる、動き回るがAさんの養鶏の基本・こだわりです。
鶏と子どもを一緒にするわけにはいきませんが、参考になるような事柄が沢山あります。飽食の時代と言われ、外食産業が盛んです。そこで見る光景は、よく言われるように食べ残し・残飯です。学校給食でも残飯の量がよく話題になります。
適度な量の食事、それもいろいろな種類、動き回るが健康的な内臓、身体を作るのは人間にも共通することと思います。これから育つ子どもには特に必要ではないでしょうか。健康的な空腹が一番食事がおいしく、栄養として体内に取り込みます。
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臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴 木 隆 一