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一緒に子育て 74 箱庭療法(子どもの遊び空間)

子どもは発達途上に、いろいろな問題を見せます。それらの多くは専門家に委ねることもなく、本人の自己治癒力や家族のサポートで解決することもあります。しかし、その問題の深刻さや長期化の場合は、学校ならスクールカウンセラー等の専門家に相談することもあります。スクールカウンセラー以外にも、市の教育員会の相談機関を訪ねることもあるでしょう。

そこでは、こどもの年齢や発達レベルに応じた様々な手立てで子どもに対応します。その一つに箱庭療法があります。詳細は省きますが、砂箱にいろいろなおもちゃ(人形、建築物、動植物等)を置き作品を作ります。その作品作りを何回か繰り返すことにより自分の内面を反映します。

心理療法の目指すことの一つに、自分の内面を表出するということがあります。その表出の手段が言語、遊び(遊戯療法)等がありますが、箱庭療法では箱庭の作品作りがそれに当たります。私もカウンセラー時代に箱庭を得意にしていました。

昨日、日本箱庭療法学会に参加して、表現手段の一つとしての大切さを改めて認識しました。箱庭に魅力の一つに砂があります。砂を触ること自体が人間を退行させてくれます。すなわち自由な振る舞いを促してくれます。その自由な振る舞いが自分の内面(時には不満、葛藤等)を表現する力を保障してくれます。更に絵画療法のように絵の上手さ下手さは関係ありません。また、カウンセラーという見守ってくれる人、付き合ってくれる人の存在も大事です。

いずれにしましても、自分の内面を表現できそれに付き合ってくれる人の存在は、自己治癒力を促してくれるものです。

昨日の学会ワークショップでは、「不登校を主訴とする中学生男子の事例–箱庭表現の物語と展開」「身体的不調と不安を訴える小学校6年生男児との箱庭療法過程」等々の子どもの事例が発表されました。主訴がすぐに解決とは行きませんが、それぞれ自分を取り戻していく過程を見て取れることができました。

私の持論ですが、子どもは自分の前に立ち止まってくれる人の存在を確認し、その人に表現できることがあれば、問題解決のきっかけや、自己治癒力を高めることにつながると思います。    立ち止まってくれる人は、家族でも先生でも時にはカウンセラーでもいいのです。立ち止まってくれる人を見つけにくいのが現状ではないでしょか。

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臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴 木 隆 一


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