ぎゃらりー鈴ブログ>

日: 2020年12月21日

思うこと 高齢者施設での虐待     

高齢者の居住施設や精神科病棟で、利用者が虐待を受け、当局の捜査を受けている等の報道に接することが最近多い。高齢者の施設での虐待に、識者がその予防のためコメントをしていた。「施設スタッフのスキルと経験の不足」が原因と指摘していた。

そのコメントに何か違和感を感じた。スキルとは技術やテクニックの意味である。お年寄りを介護するための技術、例えば、食事特に流動食の食事介助時のスムースな方法であろうか。口を開いて貰うためのスプーンの運び方、嚥下して貰うための姿勢の介助等であろうか。これらは排泄時にも言えることであろう。スムースに事を運ぶ回数が経験であろうか。

感じた違和感とは、果たしてテクニックを向上させ、勤務の経験を積めば果たして虐待は防げのか、ということである。

「福祉の心」と言うような言葉が適当かどうか分からないが、高齢者に対する者が、高齢者にどのような気持ち、態度、姿勢で接するかが、スキルや経験より重要であると考える。

高齢者施設に傾聴ボランティアでお伺いしているが、人手不足の中で柔和な態度、言葉がけで飲み物を配っているスタッフを見ると、私たちさえ心が和むのである。利用者の方々を大事な人、もっと言えば尊厳の気持ちを抱いているように感じる。この態度が、虐待防止の一番重要なことである。

感想、質問等は yc-suzuki65@bcc.bai.ne.jp で送信して下さい。

臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴木隆一

 


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