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月別: 2014年2月

一緒に子育て 47 今の生活が充足していないと、進路のことや将来のことなど考えられへん

先ず、前回の記事の中で、誤字がありましたので訂正いたします。赤ちゃん返りを退行現象ともいいますが、「退行」が「退校」になっていました。申し訳ありませんでした。

今回のテーマは、丁度今時の話題ではないでしょうか。学年で違いますが、進級・進学を控え進路のこと、将来のことを考える時期になっています。

スクールカウンセラー時代につきあった、不登校傾向の中学3年生男子生徒の状況を、今回の見出しにしました。彼は、もともと友人関係が苦手で、自分のクラスや同級生になじめず、というどころか無視される傾向にありました。それだけが不登校の背景ではありませんでしたが、学校生活自体に不安と恐れを抱いていました。

ところが、3年生になった途端、学年の集まりや、クラスでのホームルームでは、「1年後には中学校卒業後の大事な進路のことがあるので、今から確り考えるように」、との指導を何回も受けます。「中3になった途端、進路進路で憂鬱になる」が彼の悩みで、私への発言でした。

彼は、新しいクラスや友人に馴染み、今までと違う新しい学校生活を考えていたと思います。そのことで頭が一杯だったでしょう。進路という将来のことより、「今」のことを一生懸命に考え悩んでいたのです。

私たち大人は、子どもに「将来のために・・・・・を頑張るように」、「そんなことしとったら、将来ろくなことにならんへんで」、と励ましたり脅したりします。その言葉で奮起する子どもいますが、彼のように今・現在に不安と恐れを持っている子どもには、将来どころではありません。私たちの励ましが、焦りや不安を助長しマイナスに働きます。

建設的な将来を考えるためには、ある程度充足した今の生活が必要であることは、世代を超えて言えることです。不安を抱えやすい思春期の子どもには、特に必要です。

ご意見、感想、質問がありましたら、HOMEのコンタクトかお問い合わせで送信して下さい。

臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴 木 隆 一


一緒に子育て 46 子育て常識の嘘シリーズ6「赤ちゃん返りはあかんのか」

先日、生まれて数ヶ月の赤ちゃんを連れたお母さんとお話ししました。上に5歳と3歳のお姉ちゃんがおり、過去その子どもたちが赤ちゃん返りをして相当苦労されたようです。今回はそれを見越していろいろ対応を考えられ、以前のようなことはなくうまくいったようです。スキンシップなどをこまめにされたようでした。

さて、赤ちゃん返りのことを「退校現象」とも表現します。下に赤ちゃんが生まれた時、子どもはこのような行動を起こすことがあります。日常生活上のスキルがすでに自立しているのに、それができなくなる、しようとしない等です。私の臨床例では、小学校3年生の女児が夜尿が始まったことがありました。その他よく起こるのは、母親にまとわりつく、おっぱいを欲しがる、ハイハイをする等々で、まるで赤ちゃんに返ったようです。

赤ちゃんの世話で精一杯なのに、まとわりつかれたり、スキンシップを求めにこられたりと、お母さんは大変です。産後で精神的にもブルーであればノイローゼにもなりそうです。

この大変さと赤ちゃん、退校というマイナス的な言葉で悪いイメージがありますが、果たして「あかん」ことなんでしょうか。「赤ちゃんばっかりでなく、自分のこともかまって欲しい。忘れんとって欲しい」、というメッセージなのですが、このような欲求を素直に出しているのです。

自分の気持ち、欲求を素直に出せる健康さを大事にしたいと思います。反対に自分の気持ちを出さずに、心にしまい込み貯め込んだとするなら、違うかたちで問題が出るかも分かりません。赤ちゃん返りは因果関係がはっきりした単純な現象で、まわりにも分かりやすく対応も簡単です。「忘れていないよ」、「あなた大事よ」等のプラスのメッセージを送るなら、子どもは納得します。その反対に「お姉ちゃん、お兄ちゃんやのに我慢しなさい」「赤ちゃんの世話で忙しいのが分からないの」等のメッセージなら、赤ちゃん返りの行動が長く続きます。

ただ、事実赤ちゃんの世話で忙しいお母さんは大変です。心身に余裕があれば別ですが、産後のしんどさ(ブルー等)が重なれば、助っ人が必要です。誰かにグチを聞いて貰ったり、実際の手助けも必要です。決して一人で我慢する必要はありません。これこそ「一緒に子育て」です。

子どもからの心のメッセージは、下に赤ちゃんが生まれた時だけでなくいろいろな場面で届きます。その表現が下手で、周りは一時困ることかも分かりませんが、「素直に表現できる健康さ」、と受け止めたいです。そして、子どもには表現できる相手がいたのです。

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臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一


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