わたしは、過去の経験、キャリアを生かしてボランティア活動をしています。その一つに犯罪者支援活動があります。非行や犯罪によって被害者及び家族は、生活を始め心理的にも大きな痛手を受けます。それらの方々を、具体面、心理面でサポートする活動です。
先日、全く理不尽な運転により亡くなられた事案の裁判を傍聴しました。30歳代の男性がその事故で死亡しました。そのご両親・姉が傍聴席におられました。私たちボランティアは、そのご家族をサポートするため、一緒に傍聴席に同席しました。普段経験することの無い裁判という場面に、少しでも安心していただくためもあります。
加害者も事故を自分の責任と認めており、後は刑期ををどうするかが論点のようでした。加害者は批判去るべきでその責任を懲役という形でとらなければなりません。
ここで見出しのこだわりのこですが、被告席にいる加害者の様子と、事故に至った経緯、運転の様子が気になりました。加害者を弁護するのではなく、発達障害傾向の人たちが持つ特性です、
亡くなった方の家族が意見陳述をします。本当に同情すべき内容です。それを聞いている加害者家族、妻・両親は深く頭をたれ、涙を流しています。ところが、加害者当事者は表情を変えること無く、感情が動いているのさえ不明の姿でした。また、事故に至った経緯ですが、どこの家庭にもあるような家族間のトラブルでした。加害者(40歳前くらい)は、そのストレス解消のため、早朝に車をとばしたのです。そのスピードは100kを超えていました。散歩をしていた被害者をはねたのです。
私が思うのは、その程度のストレスを解消するのに、そんな行動しかなかったのか、ということです。一度思い込んだストレス意識は、その被害意識を一層高めるのです。更にストレスの解消には、他にいろいろな方法、例えば同僚に愚痴を言う、居酒屋で酒を飲む、パチンコをする等々、一般ならいろいろあります。
そのようなことを総合すると、彼は発達障がい傾向の特性の一つである、こだわりがあったのではないかということです。
一つのことを思い込むと、なかなかそこから抜けきることが困難、その思い込みの被害・ストレスの解消も、複数から選択するのではなく一つしか無いのです。彼は時間に関わりなく猛スピードの運転に至ったようです。
子どもに関わる私たちは、出来るだけ早く子どもストレスに気づき、その解消の手立て(物や人に当たるのではない)を示してあげる必要があります。一番妥当なのは表現することです。言葉での表現が困難なら遊びや身体を動かすこと、好きな趣味を一緒にする等々です。
本当に一緒に考えたいことでした。
臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴木隆一
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