昨年12月、市内のある中学校3年生への講話を依頼されました。大人が相手でなく、約50分を集中して聞いて貰うためいつも苦慮します。それも体育館の床に座ったままですので、聞く方も大変だと思います。学校側が私に求める内容は、定期テストも終了しこれから本格的に進路を考えなければならない、という時期で生徒もいろいろストレスを感じているので、気持ちが落ち着き、前抜きに進路を考えるような話、ということでした。
私にとれば、言うは易く行うは難しの例えの通り内容です。たまたま依頼された時期にテレビを見ていますと、ウズベキスタンの女性が、お墓を掃除している映像が映りました。そのお墓は、第二次対戦で、当時のソ連に捕虜になり、強制労働で死去した日本兵のお墓でした。当時はウズベキスタンもソ連の国でした。
その女性に対しての取材の中で、とても興味深いものがありました。その女性は自分の祖母、母親とお墓の掃除を代々続けているそうです。確かにきれいに保たれていました。その女性の言うことは、祖母、母親から受け継いでいるそうです。
何で現地の人がそのように受け継いでまで掃除をするのか、というこですが捕虜の身で働く日本人の真面目さや、手を抜かない仕事ぶりに当時のウズベキスタンの人々は、感銘を受けたそうです。強制労働で完成させたのは、ナヴォイ劇場という名前でソ連国内でも指折りの劇場だったそうです。
首都タシケントにありますが、完成して何年後かに大地震に見舞われましたが、多くの建物が崩壊する中で、その劇場は被害がありませんでした。震災被害を受けた人々の避難所として貴重な建物になりました。多くの建物が壊れる中、日本人捕虜が建設した劇場が無事だったのです。それだけ丁寧に建てられたことを、改めてウズベキスタンの方々は感心されたと言うことです。ウズベキスタンの人々が自分の子どもに、「日本人のように真面目になりなさい」、といって子育てをするそうです。
私は、そのエピソードを織り交ぜて生徒に話をしました。このようなエピソードを交えるのは、聞く側に「閉塞感」より「開放感」を持つこと、君たち日本人、日本の文化で育った者は、先人が作り上げた業績を受け継いでいること、これらがいざという時に力が発揮されることを強調するためです。
講話を聞いてくれた生徒の感想文を紹介します。
鈴木さんのお話で、私の知らなかった日本人のすばらしい行為を学ぶことが出来ました。これからの未来を創っていく私たちに、先人のような行為が出来るのか、と考えると少し不安になります。今は思春期の私たちも、この人生の岐路呼ばれる今を、親にうざいとか嫌だとか思う時もあるけれど、ちゃんと自分のことは自分で考え、自立(自律)する大人になり、これからの社会、これからの未来、これからの日本を創る人になっていきたいです。とても充実した時間でした。有り難うございました。
このような感想文に接すると話しがいがあるというものです。私からも有り難うといいたいくらいです。