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カテゴリー: 一緒に子育て

一緒に子育て 95 いじめについて 大人の本気が大事

前回、いじめへの対応の一つに「癒やしの効果」を取り上げました。今回は大人の本気度について触れます。

いじめから重篤な事案になる経過の中で、「なんでもっと早くいじめ被害を訴えなかったのか」がよくあります。その原因はいろいろ推測できますが、その一つに「大人に言っても軽く見られるか、たいしたことをしてくれない」があります。確かに、子どもや親から相談があっても忙しさに紛れたり、当事者ほどの緊迫感がなくて対応が後手になりがちです。加害者側もその状況を見ています。

私はスクールカウンセラー時代、保護者からいじめについて相談を受けた場合、担任に「何時、どのような対策をしてくれるのか。その結果を教えてくれるように」を失礼にならないように確かめることを勧めていました。

大人の具体的な真剣な「すぐ動く」様子を、被害者側も加害者側も見るのと、反対の大人の様子を見るのとでは、子どもたちに与える影響は大違いです。

「親や先生はすぐ動いてくれるんや」の姿を示したいものです。


一緒に子育て 94 いじめについて 部活での人間関係

いじめについては過去、このブログでも数回取り上げました.。今回は最近参加したいじめ対策に関する会合から感想を述べます。

最初に、「いじめをなくす」「いじめ撲滅」等のスローガンがあります。現在教育委員会等の公的見解では、ケンカもいじめに属する、と言われています。重篤な状況に陥らないためには、軽微なうちから対策をする必要があります。先程のスローガンに戻りますが、学校、職場等々の不特定多数の人間が集まる場所においては、人間関係のトラブル、諍い、反発、反感は避けられないもです。従いまして、集団生活の中ではいじめ的な人間関係はあって当然ではないでしょうか。

私は、スローガンとしてのいじめ撲滅は当然ですが、より大事なのは迅速な対応といじめ被害者への寄り添いだと思います。昔からいじめはあっとして見過ごす間違いが過去にありました。確かにその一面はありますが、現在は過去にあった「癒やしの人間関係」が少なくなったと思われます。諍いの人間関係、傷つく人間関係は増えた反面、癒やしの人間関係が減ったのではないでしょうか。例えば、祖父母や叔父伯母の存在、また近所のおばちゃんの癒やし効果も減っています。

参加した会合でも当事者の中学生の声として、いじめ場面で被害者側を守る行動は、自分もいじめられる側になりはしないか、との心配でほとんど不可能とのことでした。今の中学生は「ええかっこ、目立つ行動」を嫌います。良く理解できる心境です。私は、中学校での講話で「その場面では介入や味方はできなくても、その場面が納まった後被害者の友だちに声をかけるのはできるやろ。自分がいじめられた後、味方がいることが分かれば、どんなに心強いか分かるやろ」と話します。この話には、うなずきが多いです。まさに、癒やしの人間関係です。

部活、特に運動部では叱咤激励か、指導か、いじめかの境の人間関係がよくあります。この場面でも先程の「癒やし効果」は有効です。特に部活指導者は、叱咤激励に強い子か、叱咤激励に傷つきやすい子なのかを良く見極め、部活終了後声かけをしてやる必要があります。傷ついている子にすれば、その一言はどんなに心強いことでしょう。

人間は、特に友だち関係に気を遣い、傷つきやすい思春期の子どもは、自分をよく見てくれている、味方をしてくれる他者の存在があれば、困難な状況を自分で克服もできるのです。

臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一

ご意見、感想、質問は yc-suzuki65@bcc.bai.ne.jp で送信して下さい。


一緒に子育て 93 いじめと自尊感情

いじめ関連のある会での討議の中で、単なるいじめ件数の上下に関心を寄せるのではなく、子どもたちの「自尊感情を高めることが大事」との発言がありました。私も全く同感でです。

いじめは教育の世界、学校現場、学校集団で起こることが多いです。学校社会の社会病理とも言えます。そうしますと、単にいじめをなくすだけでなく学校の機能を修復する、本来の正常な形にすることが子どもの発達成長に大事なことです。子ども成長や発達が阻害されていることが、学校の社会病理につながるかも分かりません。

学校の機能をより正常化することの大きな一つに、分かる授業の推進と共に「自尊感情を高める」ことがあると思います。学習活動にもついていけない、部活動で自分の力を十分発揮出来ない、友だちともうまく付き合えない、等々が重なると自尊感情どころか、自己否定感が増幅します。

更に、そのような状況を理解してくれ、応援してくれる人がいなければ、自暴自棄にもつながります。結果的に生徒指導上の問題を起こすか、いじめターゲットを見つけ攻撃にもつながります。

大人になった発達障がいの人が次のような発言をされました。「学校時代にたくさんのいじめを受けたが、いつも穏やかな人は自分を攻撃してこなかった」。いつも穏やかな人とは、自尊感情も持っていると考えられます。その反対に、険しく不安定な表情の人とは、自尊感情が持てていない、自己否定感が存在すると考えられます。そのような人は、弱い者いじめというしがない行為で自分の存在感を発揮するしかないのです。

勉強も苦手、運動も苦手、友だちもいない等々の子どもたちの心情を理解し、寄り添い、少しの成功体験を共にすることは、どれだけ大きな応援になることでしょう。

失敗体験の積み重ねで不登校になった中学生が、自分のことを理解しようとしてくれた一人の先生の存在で立ち直った相談ケースを経験したことがあります。「理解してくれた」のでなく「理解しようとしてくれた」なのです。自分を理解し支えてくれる人の存在が、自尊感情にもつながるのです。

臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一

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一緒に子育て 92 子どもとのコミュニケーション

伊丹市内のある小学校の保護者の皆様と、見出しのテーマで討議をしています。保護者の方々は、自分の子どもとの関係、中でも意思の疎通、コミュニケーションは切実な願いだと思います。これらがスムースにいけば、子どもの考えや状態が理解でき親としても大安心です。

子どもとコミュニケーションをスムースにするために、どんな語りかけがいいのか、どんな質問がいいのかが気になるところです。今回もそれらが出ましたが、子どもからの話を聞き出すために、こちらからどんな関わりがいいのかよりか、一番大事なのはこちらの聴く力、聞き方ではないでしょうか。

保護者の方々からの発言にもありましたが、子どもの発言に対して、ついうっかりいい加減に聞いてしまうと話されていました。折角のコミュニケーションの機会を失ったかも分かりません。

子どもから話を聞くためには今はやり「聞く力」が大事なのです。忙しくてもほんの少しの時間を子どものとの関係のために使用する。ほんのわずかな時間でも子どもの正面に立つことが大事だと思います。

親が一生懸命聞いてくれた体験が、話しやすい関係をつくることでしょう。

保護者の方からでたその他の意見として、こちらの態度やその場の雰囲気も大事だとおっしゃっていました。まさにその通りだと思います。発言しやすいこちらの態度や雰囲気も自分を表明するためにはとても大事な要素です。

結論として、こちらから何を話すかではなく、どのように聞くかがポイントです。

臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一

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一緒に子育て89 犯罪被害者支援研修に参加してその2 罪の意識があるのか?

次回に続いて見出しの研修会に参加しての感想を述べます。

講師が述べられたことと、過去私が保護観察官、保護司としての経験をダブらせての感想です。 警察の関係者が、管轄の中学校へ出かけ生徒への講話を続けた結果、明らかに非行件数が減少したとの報告がありました。生徒に強調されたのは、万引きも法律の解釈からちゃんとして罪になる、追いかけてきた店員さんを振り切り、その店員さんが転倒して怪我をすれば傷害という罪になる、等々を丁寧に法律、刑法に照らし合わせて説明されたそうです。その罪、非行の結果、警察、検察、鑑別所、家庭裁判所、少年院等々を経て、償わなければいけない等も子どもたちは知っているでしょうか。

スパーやコンビニでの万引きの件数は相変わらずの状況です。よく言われているのは「罪の意識が希薄」ということです。補導されたり警察へ被害届を出されるのは、運が悪かったぐらいの意識です。皆がやっている、捕まらなければよい、という認識が多いようです。

その意識が万引きに止まらず、バイクの無免許運転、バイク窃盗、信号無視等々へ拡大します。これらも皆がやっている、捕まらなければよいレベルではないでしょうか。要するに自分らの行為が法令違反という認識がなく、言わば流行、ファッション程度の軽い気持ちで行われます。

私の保護観察対象者であった中3A君もその典型でした。すでに良好解除されて相当年数経ちます。A君も数度の万引きで生徒指導の先生から何度か指導され治まりましたが、仲間内でバイクの運転がはやり、その流行の流れで無免許運転へと進んでいきました。              まさに、皆がやっている、見つかっていないレベルの意識で、その行為が法令違反である、悪いことをやっている意識はほとんどありませんでした。意識というより知らないといってもいいと思います。いわば彼らのファッションなのです。

これらの意識を危惧した警察関係者が、法令に準拠してきちっと説明、解説することで、非行件数が減少したことは、時宜を得た教育と感じました。

感想、ご意見、質問がございましたら、yc-suzuki65@bcc.bai.ne.jpで送信して下さい。

臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一


一緒に子育て 88 犯罪被害者支援研修に参加して 被害者の声「未然に防げたのでは?」

平成30年1月と2月に、6回にわたり京都犯罪被害者支援センターの研修に参加しました。そこでの電話相談や、面接での支援のボランティア活動をしてみたい、と考えてのことです。過去、臨床心理士として様々なクライエントを対象に、カウンセリング活動や心のケアの活動を経験しましたが、今回は初めての分野で新鮮な印象をいろいろ受けました。

一番印象的だったのは、少年犯罪の被害者当事者の声でした。過去にも、臨床心理士の研修会で、高校生の息子さんが友人の暴力で殺された母親の話をお聞きしたことがありました。

今回講師を務められたのも、面識のない16歳の少年から一方的に暴力を奮われ、殺された高校1年生の息子さんの母親Aさんでした。いろいろ語られた中で、現在保護司である私に耳の痛い内容がありました。

それは、犯罪被害者を出さないようにして欲しいと言うことでした。Aさんの息子を殺した犯人は、過去いろいろな少年非行を繰り返していたそうです。具体的には語られませんでしたが、類推するに、万引きや暴力事件、無免許でバイク運転等々ではないかと思われます。Aさんが強調されたのは、万引きや暴力事件が軽いとは言えませんが、そのレベルの段階で対応・保護・指導をきちっとなされていれば、重篤な非行や犯罪に至らなかったのではないか、ということでした。

確かに、保護観察対象者として私たちが出会う少年や大人の中には、非行犯罪を繰り返してきた人たちがいます。保護観察を終了した少年が再度事件を起こして、家庭裁判所の審判で少年院送致になるケースもあります。大きな事件の前の小さな事件で少年が立ち直ることできれば、Aさんのような被害者を出さなくてよかったでしょう。この犯人も、過去中学校や警察署等々でいろいろ保護や指導を受けてきたでしょう。保護観察を受けていたかも分かりません。

一度、非行に陥った少年の立ち直りには、本人に道徳性や規範性を身につけるように指導すること以外に、多方面の対応が必要です。                            Aさんの息子さんを殺した少年は、過去どのようなサポート受けたのか気になるところです。

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臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一


一緒に子育て 80  質問に答えて ~相談相手が欲しいが~

よくいただく相談の一つです。障がいがあるなしに関わらず、子育ては際限のない仕事です。例えとしてよく例に出しますが、私が数年前にボランティアとして水害を受けた家屋の泥だしをしたことを例に挙げます。公民館の広い床一面に、30センチ程の水をたっぷり含んだ泥が積もっていました。もしこの泥を一人で出すとなるととても手をつける気持ちにもならないでしょう。しかし、10数人の同士がいることで、手をつける気にもなりますし作業もはかどります。いつ終わるともしれない事柄は、一人では不安で踏み出す勇気にもなりません。

泥だしと子育てを一緒にはできませんが、いつ終わるとのしれない仕事では似ていると思います。まして、ハンディのある子どもの子育てとなれば、一層不安と心配が募ります。そこで、私の持論ですが、「一緒に子育て」です。一緒の相手はいろいろです。心理や医療、療育の専門家も必要に応じて相談相手、一緒の相手にもなりますが、一番身近なのは「子育てをしている親同士」です。これをピアサポートといいます。子育ての悩みに的確な答えは返らないかもしれませんが、「みんな一緒や。ほんなら、ちょっと頑張ろうか」の気持ちを起こさせてくれます。子育てには正解はありません。親同士の話が正解に近いかも分かりません。

相談機関、医療機関も必要に応じて利用することもあるでしょう。診断や判定を得ることで自分の子ども理解につながり、今後の子育ての参考になります。定期的に利用することで、発達の状況の理解にもつながります。

現在保育所や幼稚園や学校に通園・登校している子どもが、並行して他の療育機関に通わせたいが、との質問もよく受けます。私は次のようにお答えします。その子どもが主たる生活の場、保育所、幼稚園、学校に喜んで通いそこでそれなりの活動があるなら、それ以上必要はないと思っています。子どももそれぞれの活動の場で全力で過ごし、ストレスを受けているでしょうし、心身の疲れもあります。帰宅後は、甘える時間、癒やされる時間として過ごすのは如何でしょうか。

ご意見、質問、感想がございましたら yc-suzuki65@bcc.bai.ne.jp で発信してください。

臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴木隆一


一緒に子育て 79 発達障がい児の困り感 教室で立ち歩く一年生

発達障がい児のことが注目され、相当年数経っています。教育でも福祉でもそれ以前と比べて格段に手立てがなされています。私も教育や保育の場で研修会の講師をよく務めますが、発達障がいのことが多くなっています。それだけ関心が深く、該当の子どもたちへの取り組みも真剣に考えられるようになってきたことは、喜ばしいことだと思っています。

先日、次のような相談を受けました。小学校1年生発達障がい傾向男子の子どもさんですが、音楽の授業に立ち歩くということでした。お母さんからの相談でした。授業中、他児が座って学習しているのに立ち歩くのは大変目立って、お母さんもお困りの様子がありありでした。

状況を詳しくお聞きしました。音楽の授業で先生がピアノ演奏やモデルで楽器を演奏している時は静かに聞いているが、子どもたちが演奏し始めると、奇声を上げて嫌がる様子を示して、最後には立ち歩くとのことでした。

発達障がいの子どもたちの多くに、感覚の過敏性があります。このことは通常よくいわれの社会性の障がいコミュニケーションの障害、想像性の障がいほど注目はされていませんが、実際の生活場面では、この過敏性で大変困っていることをよく見受けられます。

この子どもさんも聴覚の過敏性があり、秩序だった音(先生のモデルの演奏)なら聞くが、子どもたちの楽器演奏は雑音・騒音に聞こえ、本人の我慢の限界を超えていると考えられます。定型発達の子どもや我々なら我慢の範囲内ということが考えられますが、それを越えているのです。

私は、そのお母さんに、その時は教室外での適当な場所を用意して、そこに逃げ込むことをアドバイスしました。担当の先生の了解が要りますが、このように特別な措置もあってもいいのではないかと考えます。

5月21日に放映されたNHKスペシャルで、大人の当事者(発達障がい)の話がありました。子どもの頃、教室や街頭の騒音は、時には耳をドリルでえぐられるようだと話されていました。そのために、吐き気や頭痛さえもするそうです。

私たちは、そのような特有な感覚の過敏性に注目する必要があると思います。その配慮が発達障がい児・者の困り感を少しでも軽減できるものと考えます。

ご意見・質問・感想がございましたらホームのコンタクトか、お問い合わせからら送信してください。

臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一


一緒に子育て 78 心の健康会議に参加して 特に関係性について

3月19日に福井市において見出しの研修会があり参加してきました。「周産期医療と心理臨床」のテーマで病院勤務の臨床心理士からの報告が印象的でした。出産直後から手厚い医療が必要な乳児とその母親へのケアが具体的に述べられました。乳児と母親が一番初めに関係を持つのはね出産直後に母親に抱かれることです。我が子を抱いて母親を実感して、喜びも倍加します。子育ての意欲も湧いてきます。

ところが、すぐに集中治療室へ行かなければならない乳児に対しては、それが不可能です。母親は自分の子どもが心配でたまりませんし、接触すらできません。不安が高まります。その母親を精神的にサポートするのが臨床心理士です。医療スタッフと共に、様々な方法で接触の機会を持つと共に、安心してその機会に子どもとの時間に没入できるできるようにケアします。

ここで没入と言いましたが、私子育ての中で「親は、子どもの前で立ち止まる」ということをしばしば強調します。どんなに忙しくとも、僅かな時間でも子どもの前に立ち止まる必要があります。その時の立ち止まり方ですが、まさに子どもとの関係に没入しなければ、折角立ち止まっても意味をなしません。心ここにあらずでは意味がありません。

過去のスクールカウンセラーや教育相談の中で、忙しくとても子どもとの接触できにくい話がよく出てきます。特にシングルで子育てをこなしている親は大変です。無いものねだりはできなせん。その時私はよく言ってきたのは、十分な時間がとれなくても「質のよい接触、立ち止まり方」があると、いうことです。それが没入です。子どもは親の心個々にあらずをすぐ見抜きます。

私たちは、社会生活の中でいろいろな人間関係を持ちます.。その関係の中(例えば相手からの反応)で、自分を確認したり、自己実現に向かいます。その目の前の関係に没入したいものです。

福井へ日帰りで研修会に参加しましたが、特急サンダーバードで2時間で行けるとは驚きでした。以前特急雷鳥と言われた時代に、登山やスキー・観光で北陸へよく出かけていましたが、大変便利になったものです.。それにしても北陸への旅行は久しぶりでした。福井は綺麗な町でした。

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臨床心理士・元スクールカウンセラー 鈴木隆一


一緒に子育て 76 登校を嫌がっていたA子さん 遊びで自分を表現

今年いただいた年賀状の中に、30数年前に不登校傾向を主訴に来談したA子さんからのがありました。教育委員会の相談部門勤務やスクールカウンセラー時代を含めまして、随分多くの相談を担当しましたが、A子さんは印象的なケースで、相当年月が経ってもよく覚えています。何でそんなに鮮明に覚えているのかですが、それは「遊びの不思議、遊戯療法の不思議」を教えてくれた、と考えられます。

小学校1年生のA子さんは、母親に連れられて来談しました。担任の先生からの情報では、なんとかお母さんに付いてきて貰って登校できるのですが、教室前で母親と別れづらく大声で泣き、なだめすかして引き取っていたとのことです。そういう状況が長引き担任の先生を通じて相談の申し込みがありました。

小さい妹さんがおられたので、3人で来られました。本来なら保護者の方に待機して貰える部屋があるべきなのですが、当時はその余裕がなく、同じ遊戯室に3人とも入って貰いました。Aさんには遊戯療法的なかかわりをしました。

A子さんは、当初から積極的に遊びました。印象的なのはその遊びでした。セラピストの私、母親、妹を巻き込んでお巡りさんごっこをするのです。自分がお巡りさんの役になり、その他3人がそのお巡りさんに捕まえられる役に割り振るのです。このような遊びが何回か続きました。

そのうち、教室前で母親と分かれる時も泣かなくなり、本人の申し出で教室前から校舎入り口、校門、校門が見える所と徐々に付いてきて貰う場所が、教室から遠くなりました。そのうち一人で登校できるようになりました。

遊戯療法は「子どもは、自分の悩みや不満、葛藤を言葉でうまく表現できないが、遊びの中で自分の気持ちを表現できれば、心理療法の効果につながる」、と解説されます。           彼女は、自分がリーダーになり遊びと他の人間をコントロールしたのです。もっと言えば、自分は悪者をやつける正義の役割を果たしたのです。自分が主人公なのです。プレイルームは、その遊びを保障できたのでした。                                 当時の彼女の内面でどんな悩み、不満、葛藤があるのか分かり得ませんが、この遊びを通じてそれらを表現し、克服したものと考えられます。

遊びの不思議、効果を教えてくれたA子さんでした。この遊びの不思議、効果はプレイルームでの遊びだけでなく、通常の遊びでも見られることはいうまでもありません。私は、箱庭療法も得意としますが、箱庭の作品作りでも同じようなことが言えます。

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臨床心理士・元スクールカウンセラー  鈴 木 隆 一

 


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